「国際協力NGO」というと、大規模な災害時の緊急救援や難民キャンプでの医療支援や物資援助などを思い浮かべる方が 多いかもしれませんが、それら以外にもいろいろな課題に取り組んでいる NGOがあります。 国際協力NGOがどのような課題に取り組んでいるか、事業分野別に例を挙げてみます。
◆開発 農村・都市(スラム)開発、教育の普及、保健医療、職業訓練、小規模産業の育成など。 同じ環境分野のNGOでも、課題に対するアプローチは様々です。
(社)アジア協会アジア友の会アジア各地で人々の生活に必要不可欠な水の供給のため、井戸の建設を行っています。
◆環境 森林保全、植林、砂漠化防止、生態系保全など
(認定NPO法人)緑の地球ネットワーク砂漠化がすすむ中国山西省黄土高原で地元の人々と共に植林活動に取り組んでいます。
ウータン・森と生活を考える会 熱帯林の保護をテーマに、自治体や企業に熱帯材の使用削減を呼びかける提言活動や違法伐採調査などを行っています。
◆人権 肌の色、性、年齢、貧富、宗教、信条、民族、国籍に関わらず、誰もが安心して生きられること、誰からも迫害されないことを目指し、難民、女性、子ども、先住民族、被拘禁者、在留外国人などの支援を行っている。
(社)アムネスティ・インターナショナル日本全ての人が人権を守られ、多様な考え方を持った人たちが共に暮らす社会を目指して、世界規模でキャンペーン活動などを行っています。
◆平和 平和構築、反核・軍縮活動、地雷撤去など
(特活)テラ・ルネッサンスカンボジアでの地雷撤去支援や地雷被害者を含む貧困家族の生活再建プロジェクト、 ウガンダでの元・子ども兵社会復帰プログラムなどを展開しています。
◆資金助成、物資供給 現地のパートナー団体のプログラムに対して資金・物資を提供する。 いわゆる「発展途上国」や大規模災害の被災地などに対して、不足している物資や生活向上のための物資を提供する。
(特活)インドマイトリの会インドで子どもの教育支援を行っています。小学校の建設、教科書などの教材配布をはじめとする物資支援と同時に、 教師たちとのミーティング、不就学児童の家庭訪問、教師の授業参観など、「教師が自主的に教育への意識を高める」 プロジェクトにも力をいれています。
◆人材派遺あるいは受け入れ 技術者・専門家を日本から海外に派遺、あるいは海外からの技術研修生を日本に招へいする。
(財)PHD協会アジア南太平洋地域から青年を受け入れ、農業、漁業、保健衛生、栄養、洋裁などの研修を行っています。
◆災害救援 自然災害や紛争により、被害を受けた方といっしょに生活再建や復興を行なう。
(特活)CODE海外災害援助市民センター阪神・淡路大震災の経験から、幅広い智恵や能力を持つ市民が、問題を共有しながら互いに協力して、海外の災害被災地の主体的な市民と協働しながら、生活再建や復興を支援する活動を行なっています。 また、セミナーやスタディツアーなども開催しています。
◆政策提言 独自の研究調査に基づき、従来の政策に対して、市民の意識に基づいた政策案を提示する。
(特活)AMネットWTO(世界貿易機関)などの目指す貿易・投資の自由化について、調査・研究し、政策提言活動を行う。
◆開発教育 人々に、日常生活と地球規模での問題の関連性を気付かせ、ライフスタイルの見直しなど、 問題解決につながる行動を起こすきっかけや視点を提供する。 開発教育について、詳しくは総合学習、開発教育についてをご覧下さい。
(特活)開発教育協会開発教育の推進を目的として、ネットワーキング、政策提言、調査研究、情報収集・発信、 講師派遣、講座・セミナーの開催などを行っています。
◆フェアトレード 生産地の環境に配慮し、小規模農家や生産者を搾取しない公正な取引をした商品を販売する。
グローバル・ヴィレッジ環境と南北問題についての情報提供や、貿易や消費社会の問題提起を行うと共に、 「フェアトレード」の普及・促進によって、立場の弱い「南」の国の人々の自立を支援しています。
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ネットワーク 情報交換の場を提供することで、NGO同士、あるいはNGOと他セクター(政府・自治体・企業など)との連携を促進する。
(特活)関西NGO協議会加盟団体間のネットワーキング、外務省やJICAとの定期協議をはじめとする政策提言、 関西NGO大学や相談業務など一般市民のNGOへの参加促進のための事業を行っています。
政策提言や開発教育、ネットワークなど国内で活動している国際協力NGOもたくさんあるのです。 また、一つの団体が単一の活動分野・活動形態に特化しているわけではありません。 組織が大きくなるにつれ、対象となる活動分野も広がり、複数の活動形態を組み合わせる傾向があります。