SDGs 本来のビジョンである「誰一人取り残さない社会」の実現に向けて、日本全国に SDGs を浸透させることは当然ですが、達成に向けた、実行力ある枠組みの策定が急がれます。そのためには、地方自治体及びその地域で活動するマルチステークホルダー による積極的な参加を通じ、周辺化された人々、また、セーフティネットから取りこぼされる人々の権利保障とその声を政策に反映する取り組みが不可欠と考えます。
根強く残るジェンダーの不平等、拡大する貧富の格差とその連鎖、地域経済・コミュニティの疲弊化、世代間格差、環境問題を含め多くの課題が複雑に絡み合い、解決の糸口を見いだせていない状況であることは周知のとおりです、そうした中、実効性のある枠組みの策定と地域およびマルチステークホルダーの参画は、SDGs 達成のための、まさに「誰一人取り残さない社会」を実現するための最初の窓口であり最後の砦になると考えます。
私たちは、地域に根を張り、日本・世界の市民社会と繋がるネットワーク NGO として、この度の実施指針改定に際し、以下の事項を明記することを希望し、パブリック・コメントとして提出します。
実施指針には市民社会(NPO/NGO)との連携の重要性が記載されているものの、実施推進の体制と手段において、それに関する記述は十分といえず、期待される役割が不明瞭といえます。
SDGs を推進・達成する上で、地域のコミュニティに深く根を張り、日本を含む世界の市民社会とネットワークを有する市民社会の重要性を認識し、その役割について、以下のとおり明記いただきたいと思います。
また、同時に SDGs 推進のための公的枠組みである「SDGs 推進円卓会議」における発言機会の拡充を求めます。
1 市民社会は、SDGs 達成に向けた意思決定過程における主要なアクターであることを自覚し、活動上で得た知見やノウハウを踏まえ、その役割を担う準備がある。そのため、国、地域レベルにおいて SDGs 関連政策の立案プロセスに積極的に参画できるよう、政府・地方自治体がそうした場を積極的に設けることが求められる。
2 市民社会は、SDGs 達成に向けた取り組みを実施・推進する重要なセクターであることを認識し、そのような取り組みの実施・推進に当たっては先頭を走る存在としてその役割を果たす意思がある。
そのため、政府・地方自治体、企業、教育機関をはじめとする各セクターは、市民社会の取り組みを理解したうえで、活動への参加と支援を積極的に行う。
地方で SDG を推進するにあたり、横断的な推進組織の設置、執行体制の整備が急務であることと同時に、あらゆる計画に SDGs の要素を反映する制度が求められています。そのため、多様なステークホルダーとの連携は必須であり、とくに地域に住み、公益的な活動に取り組む市民と距離の近い地方自治体においてこそ、ゴール 17 を達成する仕組みづくりが重要です。
多様な立場の人々が意見を出し、その声を SDGs 達成に向けた計画の中に反映させ、連携して取り組みを展開するべく、各地方自治体においては、マルチステークホルダー(あるいはSDGs 策定の際に取り入れられたメジャーグループに準ずるもの)がローカル指標の設定等を行うプロセスに参画すること、
また、今後想定される地域レベルにおけるレビューにも積極的にかかわれる仕組みを地方自治体が用意することを求めます。
実施指針のなかに、「誰一人取り残さない」社会の実現に向けて、政治的なリーダシップの決意を明確にしてください。
特に、子ども、障がい者、女性、若者、先住民族、難民・移民を含む外国とつながる人々、難病をはじめ病気とともに生きる人々、国内避難民をはじめ不平等や差別の対象、セーフティネットから取りこぼされやすい状況にある人々への配慮なくして、SDGs の達成はありえません。
優先課題「(People 人間) 1 あらゆる人々が活躍する社会の実現 」とありますが、SDGs17 のゴールすべてを通じて重要な理念となっている「誰一人取り残さない社会」の実現に強い意志を示す記載がされることを強く求めます。
また、周縁化されやすい人々に対する権利保障とその声を政策に反映する取り組みとして、SDGs推進円卓会議に、その声を届けるためのより正式な仕組み、しかも日本のさまざまな地域から多様な立場の声を届ける、平等・公平な枠組みが用意されるべきです。
実施指針では、ステークホルダーとして、NPO・NGO 以外に「民間企業」「消費者」「地方自治体」「科学者コミュニティ」「労働組合」が挙げられていますが、マルチステークホルダー(あるいは SDGs策定の際に取り入れられたメジャーグループなど)の声を正式に直接に反映できるよう、円卓会議の代表性の拡大とそのための枠組みの再構築を望みます。
以上