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【開催記録】COVID-19危機に対する市民社会の動きとこれから

関西NGO協議会では、2020年5月23日(土)の13:30~ Zoomにて
「COVID-19危機に対する市民社会の動きとこれから」と題したネットワークミーティングを開催いたしました。
以下、その記録を掲載いたします。

(※このネットワークミーティングは、関西NGO協議会定期総会の第1部として実施されたものです)


COVID-19危機に対する市民社会の動きとこれから

①あいさつ

高橋:2020年4月16日に、吉椿常任理事(所属:CODE海外災害援助市民センター)の呼び掛けで、COVID-19に関する運営上の課題やNGOとして何ができるかを話す情報交換会をおこなった。CODEの経験、海外の草の根ネットワーク構築の経験を話してくださり、市民社会の可能性を考える機会になった。今回は、この情報共有会後の海外の草の根ネットワークの動き、また、関西におけるNGO支援の取り組みについてお話しいただく。

②情報交換会の内容と、関西のNGO・NPOや国際的なアライアンスの動き

報告者:吉椿雅道((特活)関西NGO協議会常任理事/(特活)CODE海外災害援助市民センター)

情報交換会の内容と、関西のNGO・NPOや国際的なアライアンスの動き

・2020年2月より新型コロナウイルス感染症の支援をおこない、4月16日にその経験を共有させてもらった。その後の動き等について紹介する。

4月16日の情報交換会の報告
厳しい状況に置かれている人たちへのまなざし。手を取ってコロナを乗り越えていくことが大切だという話になった。

その後のCOVID-19の感染状況や動向
世界的な感染の流行は、中国→ヨーロッパ→アメリカ→ロシア・ブラジル。アジアについては、中国は終息傾向だが、シンガポールは出稼ぎ労働者の動きで感染が広がっている。一方で、感染拡大している国でも経済的な理由で規制の緩和が進んできている。感染者が少ない国についても、医療機関がぜい弱で検査ができないという事情もある。

CODEの支援について
【国際】
2020年2月4日に武漢の支援を開始。これをきっかけに国際アライアンスを週1回実施し、各国の取り組みや経験共有をおこなっている。最近は中国と日本の学生のアライアンスを試みようとしている。

【国内】
大阪大学の学生と高齢者の文通ボランティア。東京のマンションボランティア(マスクの回収)。困窮学生へのアンケートなど。

武漢での支援活動について:吉椿氏(KNC撮影)

武漢の支援活動

CODEと連携しているNGOが医師を武漢に派遣。そこで吸い上げたニーズをもとに物資や資金・情報提供をおこなった。当初、医療物資が不足していたが、日本でも不足していたため難しかった。武漢の支援活動においては、Wechatを活用したオンラインボランティアが活躍した。1000人以上がボランティアとして動いていた。ロックダウンされていたため、実際に動くのは武漢市民で、買い物サービス、病院搬送、心のケアなど。その後の世界の状況を見ると、人と接触できない状況で何ができるか。オンラインボランティアは示唆に富んでいる。

武漢から日本へ(マンションボランティア)
マンションに掲示板を置いてマスクの回収。マスクをもらう時に掲示板にメッセージを書く。以前はマンションの隣の住民とのつながりはなかったが、掲示板を通して人がつながった。

文通ボランティア
閉じこもっている高齢者の心の支えになった。こういう時だからこそあえてアナログに。

国際アライアンス「IACCR」
NGOや研究者の各国での取り組みを情報交換している。

・各国の活動の紹介:

各国のNGOやボランティアの取り組み:吉椿氏(KNC撮影)

ボランティア活動の最大の懸念は感染。イタリアはガイドラインを作り、感染防止教育をおこなってから派遣しており、すばらしい。海外の動きを追っていくと多彩。日本はステイホームで動きが少ない。日本でも最近はいろいろな動きが出てきているが、海外の事例から学べることが多いのではないか。現在は、日本ではコロナの厳しい状況のなかで、災害が起こった時にどう避難するか、どう感染を防止するかを考える動きも出てきている。ボランティアの役割が問われている。

武漢
日本では、武漢はロックダウンが終わってお祭りモードのようすばかり報道されているが、市民がロックダウン中に政府の厳しい規制を潜り抜けながら、どんな思いだったかをSNSで発信している。突然の家族との別れによるPTSDが非常に大きな問題になってきている。今後各国でも問題になるだろう。

インド
インドでは、家にとどまっていると日々の生活がままならないため、外に出て経済活動をしようとすることが感染を広げている。

イスラム圏
イスラム圏では、価値観・宗教観(女性が家族と離れて暮らすのは恥であったり、災害や感染症は神の怒り)によって病院に行かず感染を広げている。

・世界は分断?連帯?世銀も貧困が増加すると言っており、これまで途上国を支えてきた先進国が支えられなくなると治安の悪化や経済難民の発生を予想している。

最も問題なのは、世界で起きているこのような問題を日本が知らない事だ。

・コロナ支援を通してNGOとして:

これから暮らし方が変わってくる。これまでの災害支援の経験やネットワークの大切さを実感した。海外との学び合いが重要。亡くなった方や遺族の一人ひとりの声に耳を傾けるべき。最後の一人まで。世界の市民と確実につながり連帯すること。

・KNCはSDGs市民アジェンダ策定に取り組み、一人ひとりの市民の声を届けようとしてきた。コロナで直面しているのはSDGsの根幹。世界共通の問題を一緒に乗り越えようというもの。→共同ファンドの立ち上げについての紹介。

③共同ファンド「私と地域と世界のファンド:みんなおんなじ空の下」の設立の動き

報告者:三輪敦子((特活)関西NGO協議会代表理事/(特活)AMネット)

共同ファンド「私と地域と世界のファンド:みんなおんなじ空の下」

基本的な考え方
①世界とのつながりで私たちの生活は成り立っていた、
②これまでも厳しい状況にあった人たちが、真っ先に最も強く影響を受ける。
こういう人たちに支援をしていこうというのがファンドの目的。

・マッチングファンド(地域:世界=50:50)で、世界とのつながりを理解し、地域と世界の両方を支援しようというアイデアから生まれた。議論を重ね、本日HPをオープン。ファンドがカバーするのは、「地域(関西)」「世界」「地域と世界」の3つ。

・みなさんにさまざまな方法で広めていただきたい。SDGsの理念にもつながる革新的な取り組みになればと思っている。これまでは、国内支援と海外支援をやっている人たちの間に垣根があった。国際協力に取り組んでいて「なぜ国内にこんなに多くの問題があるのに、海外への支援をやっているのか?」と問われたことがある人は多いのではないか。実際にはグローバルなつながりに支えられて生活が成り立っていた。そのことを今、パンデミックが私たちにつきつけている。足元と世界は分かちがたくつながっている。このつながりを理解して、両方を支え、つながることでしかアフターコロナは構想できない。多くの人に理解してもらえる機会になればと願っている。

参考:私と地域と世界のファンド:みんなおんなじ空の下 ウェブサイト
https://congrant.com/jp/mlg-fund/index.html

質疑応答・コメント

質問者:ウータン・森と生活を考える会 石崎氏
コロナ禍のなかで、各国が厳しめのロックダウン、日本でもそういった声が大きくなり、改正特措法につながった。すんなりこれが決まってしまったことに危機感を覚えている。ロックダウンでは強制的に行政が自由を制限することになり、ある意味怖いものだと思っているが、意外と市民側でその点について言及がなかったことに懸念している。16日の情報交換会でもそうした話が出なかったのは残念。今後、改憲の議論にもつながっていくと思われるので、懸念している。

市民やNGO側が、政府が国民の自由を制限するような法案の採決を強行したり、国民の安全を理由に改憲の議論に持ち込もうとしたりする動きを注意深くウォッチしていくべきだと思う。

吉椿
中国やヨーロッパでも「ロックダウンの状況だから自由が制限されても仕方ない」、「感染症対策にICTによる監視は仕方ない」という意見もあった。全体主義的な監視社会に向かうのか、市民に権限を与える社会に向かうのかが今、世界指摘されているが、まさしく石崎さんが言われていることが問われている。市民、NGOが声を挙げていくことが必要。台湾で封じ込めに成功した背景には、メディアや市民が政府に対して物申してプレッシャーをかけたことがある。

三輪
ヒューライツ大阪HPに、南アフリカのNGOであるCIVICUSが作成した報告書「市民の自由とCOVID-19パンデミック」の日本語版をアップ。石崎さんが指摘された課題について、各国からの事例が報告されている。自由の制限がどういう問題につながるかが日本では良く理解されていない状況があると思う。どういう問題が起こるのか良くわかるので、ぜひご覧いただきたい。

参考:ヒューライツ大阪WEBサイト:「国際NGOシヴィカス(CIVICUS)の調査報告書
「市民の自由とCOVID-19 パンデミック 世界各地における制限と攻撃」を共同翻訳しました」
https://www.hurights.or.jp/japan/news/2020/05/ngocivicus-c-ovid19.html

髙橋
石崎さんのご指摘、NGO、市民として、私たちが何に留意し、アクションをとっていくのか、よい問題提起をいただいたと思います。本日は時間の関係もありますので、この提起の内容を、さらに深めていける場をこれからつくることができればと思います。本日はありがとうございました。

以上

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