SDGsを通して考える、社会課題解決のためのとりくみと協働のかたち ~地球規模や地域の課題を解決する人材/団体の育成のために~ 連続研修第3回目 開催
3月11日に第3回目そして最終回となる標記研修が、Open Innovation Biotope ‘Bee’(グランフロント大阪)にて開催されました。第1回、第2回に引き続き、NPO・NGO、企業、行政関係者など、異なるセクターからおよそ50人が参加しました。
第1回、第2回の研修を通じて、参加団体のみなさんは各団体の活動や理念とSDGsがどのように関係するのかを俯瞰してきました。第3回目の今回は、それらの関係性を踏まえてSDGsを通じた効果的な連携戦略を立て、実際に提案することが研修の目的です。今回の講師は、伊藤愛さん(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)と外間孝次さん(株式会社阪急阪神百貨店/一般財団法人H2Oサンタ)です。
NPO・NGO視点から考える企業との連携
講師:伊藤愛さん(公益社団法人セーブ・ザ・チルドレン・ジャパン)
はじめに、伊藤さんからNGOの視点からセーブ・ザ・チルドレン・ジャパン(以下、SCJ)の連携事例を紹介していただきました。SCJはその事業を通じて、直接支援のためには保護者や教育機関、地域の方々、社会啓発のためにはメディア、企業や行政、政策提言のために国際的活動をする組織や研究者をパートナーとしています。また、企業が戦略的にSCJと連携する例や、社員のボランティア活動、社会貢献活動の一部として連携するといた連携のバリエーションが紹介され、NGO側の人材育成や資金獲得などの面でのメリットについてもご説明いただきました。
企業視点から考えるNPO・NGOとの連携
講師:外間孝次さん(株式会社阪急阪神百貨店/一般財団法人H2Oサンタ)
企業から見たNPO・NGOとの連携について外間さんから阪急うめだ本店で2012年に始まったH2Oサンタの活動についてお聞きしました。この活動は、「こども支援」 をテーマに阪急うめだ本店のメディア性(情報発信力)を活かし、 NPOと一般の方々をつなぐ活動として始まりました。その後、さらに多くの企業・個人の方々に参画の機会を持ってもらうために2015年11月に一般財団法人H2Oサンタが設立されています。
外間さんは「個人財の社会化(個人がもつ財を、NPOの課題解決に役立てる機会を提供する)」という視点に立ち、金、モノ、技能、時間、情報のそれぞれがH2Oサンタの活動を通してどのようにNPOの課題解決に貢献してきたのかを詳しく教えていただきました。
ワークショップ:新しい連携提案を作ろう!
3回の研修の集大成として、これまでの研修で得た学びや視点を活かし、実際に連携提案の戦略を立ててプレゼンテーションをするというワークショップを行いました。
第2回目のSDGs研修で作成したロジックモデルから、到達したいアウトカム(成果)から他団体、企業とパートナーシップを結び取り組みたい、解決したい課題を一つ選びます。次にその課題を中心として、現在その課題に関わっているステークホルダーとの関係や特徴などを書き出すことで可視化しました。
次に、資金、人手、ノウハウ、社会的認知の4つのニーズに基づき、自団体の具体的ニーズを考えます。パートナーシップで解決したい課題とそこに必要な具体的なニーズを統合することで、最終的に連携提案したいパートナーを考えて発表しました。
たくさん伝えたいことはあるけれど、限られた時間の中で連携候補先にどのように伝えるか、アピールできるかという点についても参加団体の工夫が見られました。実現に至るものが出てくるのか楽しみです。
研修ふりかえり
講師:岡島克樹さん(大阪大谷大学)、河合将生さん(office musubime)
マルチステークホルダーの連携はSDGsのゴール17「パートナーシップで目標を達成しよう」のターゲットの中にも含まれています。河合さんに連携の形態、パートナーとの関係の形成、実践手順などについて整理していただいたあと、岡島さんから3回の研修について総括していただきました。
どの参加団体も研修で得た新たな視点は多く、「ワークを自団体でも実施してみたい」、「ほかのスタッフにも伝えたい」といった声だけでなく、新たなテーマでの研修実施の提案など、研修後の懇親会では心強いご意見をたくさん受け取り、事務局としても手ごたえを感じているところです。
3回の連続研修を通じて、参加団体の皆さんには地域や国際社会の様々な課題の解決に向けて、異なるセクターが連携することの意義と可能性について考える機会としていただけたことと思います。
最後となりましたが、講師のみなさんには運営委員として研修企画立ち上げの段階からご参画いただき、学びを最大限とするさまざまなワークとしかけ、研修の雰囲気作り、研修実施中は各団体への声がけやアドバイスを行うテーブルファシリテーターとしての役割を担っていただきました。このように隅々まで配慮の行き届いた研修運営ができたことを感謝いたします。
(報告者:佐久間量子、岩根あずさ)