(特活)CODE海外災害援助市民センターで活動とSDGsのつながりについて聞きました

SDGsを達成させていく上で行政や企業は重要なセクターですが、それ以上に市民が主体となってSDGsについて考え、達成のビジョンを持っていくことも大切です。市民の視点から社会課題解決を目指すNPO・NGOの活動とSDGsがどのように関わっているか(特活)CODE海外災害援助市民センター事務局長 吉椿雅道さんにインタビューをしました。

(特活)CODE海外災害援助市民センターで活動とSDGsのつながりについて聞きました!

(特活)CODE海外災害援助市民センター(以下、CODE)は、1995年の阪神・淡路大震災の際に、KOBEが世界約70の国と地域からご支援をいただいたことがきっかけで海外の被災地の復興支援を行ってきました。主に耐震の住宅再建や仕事の提供、コミュニティースペースの再建などを現地のNGOなどのカウンターパートと共におこなってきました。また、NGOとして政府との一定の距離を置いて、活動の資金のほとんどは民間からの寄付で賄われているのが特徴です。

CODE事務局長・吉椿さんに、活動やSDGsとのつながりについてお聞きしました。

CODE事務局長吉椿雅道さん

【CODEウェブサイトへのリンク】
http://www.code-jp.org/

CODEの活動とSDGsはどのようなつながりがありますか?

現地の住民が再建する耐震住宅(ネパール)

CODEは、中国やネパールなどで伝統建築の技術を活かした住宅を再建してきました。将来の地震に対して耐震性の高い住宅を再建することは、人の命や財産守り、減災社会の実現、そして可能な限り現地の資材を使って再建することは、まさに持続可能な暮らしの実現につながります。また、近年、増えている豪雨・台風災害は、気候変動の問題も併せて考えなくてはなりません。2013年、史上最大級の台風がフィリピン中部を襲い、大きな被害をもたらしました。CODEは、貧困層の多い漁村で生業を回復するためにボートの提供や女性たちの収入向上の支援を行っています。

漁村の女性たちが作る石鹸(フィリピン)

この活動は、災害後の復興支援の中で、元々あったフィリピンの貧困の削減への取り組みを行っています。これはゴール1「貧困をなくす」につながります。CODEは海外の、主に途上国の自然災害の現場で活動していますが、災害からの復興は、ただ元の状態に戻すだけでなく、その地域に元々あった問題の解決も復興の中で取り組まなければなりません。一般的に災害は、SDGのゴール11「住み続けられる街」やゴール13「気候変動に具体的な対策を」などにつながっていると言われますが、災害時は日頃の社会や地域の矛盾や課題が顕著になることから災害はゴールのすべてにつながっていると言えます。

CODEは阪神・淡路大震災の支援の中から生まれてきた「最後の一人まで救う」という言葉を最も大切な理念として現場で実践しています。それは、支援者が目の前の一人ひとりを大切にし、その人が最後のひとりかもしれないと思って向き合うことだと思います。一人ひとりがそのように身近な人にかかわっていけば、SDGsの前文の「誰一人取り残さない」社会が少しずつ実現していくと思います。

SDGsの17番目のゴールは「パートナーシップで目標を解決しよう」です。
災害援助の際に、他のステークホルダー(現地政府や地元の団体、人々など)と協働している事例について教えてください。

CODEは基本的には、現地のNGOやCBO*(地域社会組織:Community Based Organization)などの民間組織をカウンターパートにしており、現地の政府や自治体と協働することはあまりありません。ネパールやアフガニスタンなどのように現地の政府のガバナンスが未成熟なことや被災住民が政府をあまり信用していないことなどもその理由です。

現地の政府や自治体との連携は、時に必要なことではありますが、現実的に中国などNGO活動に制限のある国では、連携は非常に難しいです。ただ、その時にこちらの提案するプロジェクトや事業が現地の政府にどのようなメリットがあるのかを議論すれば協働は不可能ではないと思います。現在、フィリピンや中国で行っている防災教育の研修は、現地の政府や学校にとっても災害から子どもの命を守る事は大事な課題でもあることから、現地も積極的に学びたいという姿勢で友好的に協働ができています。

日本の学生による防災教育(中国)

その他、現地のNGOやCBOとの連携は不可欠です。CODEのような小規模なNGOは海外の現場に常駐スタッフを置いていないので、現地のNGOや住民に動いてもらっています。その国や地域の問題解決への取り組みは、そこの人たちが主体になるべきで、僕たち外国のNGOの活動はそのサポートにしかすぎません。外国のNGOが現地に長くいる事が、現地にとって必ずしもいいとは限らず、現地のNGOや住民のエンパワーメントを行い、人材を育てることの方が結果的にその国、地域のためになると考えているからです。そのためには、現地のNGOやCBOとの信頼関係が非常に重要になります。

 

* 現地の住民(村レベル)によってつくられた相互扶助の組織のことを指します。フィリピンでは、PO(Peoples Organization)やAssociationとも言われ、NGOや協同組合ほど大規模でなく、財政的なしばりのない比較的フレキシブルな住民組織です。

SDGs、わたしたちが今日からできることはなんですか?

災害の視点から見ると、まずは災害で自らの命を守ることを考えることが大切だと思います。それは、家具転倒防止、非常持ち出し袋、備蓄、ハザードマップの確認などの平時の取り組みが災害時に活きてきます。そして、災害時に困難な状況に陥る可能性の高い人たち(高齢者、障がい者、女性、子ども、外国人など)と、平時からつながっておき、その課題解決に取り組む事が非常に重要だと思います。それが互いの偏見や誤解をなくし、支え合う共生社会の実現につながっていくと思います。


CODE・吉椿さん、ありがとうございました。これからも関西地域のNPO・NGOに活動やK-SDGsの活動にご注目ください!

【CODEウェブサイトへのリンク】
http://www.code-jp.org/

(報告者:岩根あずさ)

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