SDGsを通して考える、社会課題解決のためのとりくみと協働のかたち~地球規模や地域の課題を解決する人材/団体の育成のために~ 連続研修第1回目 開催
2019年1月28日、標記連続研修の第1回が、株式会社オカムラ様の協力を得て、同関西支社内のOpen Innovation Biotope ‘Bee’(グランフロント大阪)にて開催されました。
この3回連続研修の目的は、社会課題解決に取り組もうとする団体がその理念や活動、運営方針とSDGsとの関係を見極め、ロジックモデルを策定し、異なるセクターとの協働で活動を進めることの重要性を見直すことにあります。
当初は地域のNPO・NGOを研修の対象としていましたが、予想を大きく上回る申込があったため、企業・地方行政・学生団体など多様な背景の団体から参加者を受け入れることとし、およそ20の団体から50人が集いました。
第1回目の今回は、岡島克樹さん(大阪大谷大学)、河合将生さん(office musubime)、石井大輔さん(ファンドレイジングのレシピ)の3人が講師となり、SDGs を17のゴールとともにターゲットレベルで理解するとともに、マッピングを通じてSDGsと団体や活動との関係を理解・把握しました。
SDGs概論:「SDGsを理解する」
講師:岡島克樹さん(大阪大谷大学)
SDGsについてはさまざまな視点で紹介されていますが、岡島さんが今回強調したのは、SDGsが人権を重視したアプローチになっているということです。この理念の根幹に対する理解がなくては、各ゴールやターゲットをどのように活動に位置づけるかという作業ができません。何となく分かったつもりになっていたSDGsについて、理解を深めることができました。
SDGsマッピングワークショップ:「SDGsと団体の関係を把握する」
講師:河合将生さん(office musubime)、石井大輔さん(ファンドレイジングのレシピ)
次に各団体の理念や事業、運営方針がどのようにSDGsの基本理念や各ゴールと関連しているのかを書き出すことで整理していきました。具体的には、SDGsの169のターゲットを、「団体理念や活動に関係し、取り組んでいるターゲット」、「団体理念や活動からは遠い、取り組んでいないターゲット」、「団体理念や活動に関係するが、今は取り組んでいないターゲット※今後取り組む必要が出てきそうなターゲット」の3つに分類した後、自団体の活動内容や理念ともっとも関わるものとマッチングさせました。これにより、すでに取り組んでいる活動やプロジェクトからSDGsを理解(インサイド・アウト)するだけでなく、SDGsからこれから取り組まなければならない活動を発⾒し、⽬標を設定(アウトサイド・イン)することができました。
SDGs活用事例紹介:マルチステイクホルダー型シンポジウムと活用のヒント
最後にSDGs活用事例として、2018年5月11日に「セクターを超えて考える 取り組む 誰も取り残さない社会 ~持続可能な開発目標(SDGs)と子どもの貧困」と題して開催されたシンポジウムについて事務局から紹介しました。実際に活動に関わる行政、教育機関、NPO・NGO、企業の関係者が行っている連携の取り組みを確認しました。それにより、連携により仕組みを変えていくことの重要性や、マルチセクターで開催する活動は信頼性が高く、呼びかけがしやすくなるだけでなくより多くの人を巻き込みやすくなるのではないかというディスカッションがされました。これらの視点は今後パートナーシップを考えていく参加団体にとって大きなヒントになったと考えています。
午前中から夕方までの時間をフルに使った研修第1回目。講義の密度とともに、ゴールだけではなく169のターゲットを読み込んで自団体の活動や運営方針とマッチングさせるというワークは集中力を要するものでした。参加者からは「自団体の理念や活動をふりかえる良い機会になった」、「意識していたSDGs のターゲット以外のものを認識することで、実はそれらが自団体の活動の中で優先順位が高いのではないかとの新たな発見があった」、など満足度の高い感想が多く寄せられました。
(報告者:佐久間量子、岩根あずさ)