第3回かんさいCSネットワークフォーラム「企 業 が で き る 世 界 へ の 貢 献~ 新 し い 協 働 ・ 共 創 を 考 え る ~ 」 開催
2016年6月21日、グロービス経営大学院大阪校 で第3回となる、かんさいCSネットワークフォーラムが開催されました。NPO・NGO関係者や企業からおよそ50人が参加しました。
かんさいCSネットワークフォーラムは、関西地域を拠点に活動するNGOと関西地域の中小企業との出会いの場を作り、ネットワークを形成しながら、地域を含む地球規模の課題解決に向けて、お互いの資源や能力を提供し、協働する機会を推進する関西地域のフォーラムです。
今回のかんさいCSネットワークフォーラムは3部構成で開催されました。第1部では大野容子さん(セーブ・ザ・チルドレン)から、SDGsの概要や特徴についてお話がありました。続く第2部では分科会形式で、SDGsのゴールに関連した「貧困をなくす」、「清潔な水と衛生」、「持続可能な街と地域社会」という3つのテーマへの理解を深めました。第3部で、各分科会の代表者が分科会の内容を報告し合い全体で共有しました。
SDGs:持続可能な社会とは?
世界では自然災害、国際社会の財政危機、貧困の問題などが山積し、今まで以上に持続可能な社会に向けた取り組みの必要性が高まっています。そのような中で策定されたSDGsにはどのような特徴があるのかを大野さん(セーブ・ザ・チルドレン)からお話いただきました。SDGsには17のゴールと169のターゲットがあります。これを大野さんはふたことで「世界から貧困をなくす」「続かない世界から続く世界にする」と表現し、SDGs策定過程や特徴、概要についてお話いただきました。
また、SDGsは途上国だけに問題を限定していません。先進国内の課題解決へも相応の役割が求められていることや、企業やNGOといった各ステークホルダーの参画が期待されていることなどにも焦点が当てられました。特に企業からNPO・NGOへ、NPO・NGOから企業へそして、企業とNPO・NGOといった具体的な例からマルチステークホルダーの協働について説明をしていただきました。
SDGsの各ゴールに沿ったテーマでの分科会の開催
第一部の講演後、参加者は3つの分科会に分かれSDGsに関連するテーマで議論を行いました。今回の分科会で取り扱ったテーマはそれぞれ、「貧困をなくすこと(SDGsゴール1:貧困をなくす)」、「清潔な水と衛生(SDGsゴール6:安全な水とトイレを世界中に)」、「持続可能な街と地域社会(SDGsゴール:住み続けられる街づくりを)」です。
テーマ1:貧困をなくすこと(SDGsゴール1:貧困をなくす)
ファシリテーター:加藤 良太さん(OIKOLABO代表/同志社大学大学院嘱託講師)
SDGsのゴールのそれぞれは問題のスケールやそこに関わるアクターの多様性などそれぞれの目標やターゲットが複雑に絡み合っています。そこで、各ゴールの関わりをよりよく理解するために参加者たちは、「SDGsすごろく」を作りました。
これは一番身近な目標(たとえばSDGsゴール12:つくる責任つかう責任)をスタート地点として、ゴールを「貧困をなくす」、「飢餓をなくす」に据え、身近な目標からゴールに向けて、各目標同士がどのように関連しているのかをつなげていく作業です。自分なりの「SDGsすごろく」を作成することで、そこに取り組むためのアクションプランのアイディアとゴールを考え共有しました。
テーマ2:清潔な水と衛生(SDGsゴール6:安全な水とトイレを世界中に)
ファシリテーター:村尾佳子さん(グロービス経営大学院経営研究科副研究科長)
発題者:熱田典子さん((公社)アジア協会アジア友の会副事務局長)
ネパールで水の問題に取り組んでいる、アジア協会アジア友の会の熱田さんより、グローバルなスケールで起こっている水に関する脅威についてお話いただきました。また、インドとネパール間で起こっている水をめぐる摩擦や、小学校低学年の子供が水汲みに時間をとられることで学校へ行けない問題などに関して報告がありました。
これらの水に関わる様々な問題の解決策の一つとして、アジア協会アジア友の会の活動が紹介されました。これは、企業から寄付を募り1基15万円で井戸を建設し、寄贈者が現地で実際の活動の様子をモニタリングできるという支援制度です。このような形で、企業が世界の水問題に取り組む可能性が提示されました。そのほかにも企業へ連携を促す方法として、高度な技術を低コストで提供できるようなシステムづくりなどに関する提案がありました。
テーマ3:持続可能な街と地域社会(SDGsゴール:住み続けられる街づくりを)
ファシリテーター:柏木 宏(大阪市立大学教授)
発題者:上野 智彦((特活)CОDE海外災害援助市民センター)
海外災害支援を行うCODEの活動として、フィリピン(台風被災地域)での漁業用のボート提供による支援、ネパール(震災被災地域)での耐震住居建設支援の事例が紹介されました。
また、このような国際協力の現場で活動するNGOは、現場と日本社会を接合する役割を担っています。このような国際協力活動には市民や企業などのドナーからの資金協力が不可欠です。そのためにも啓発活動や広報活動を通じて活動について知ってもらい、資金調達へつなげる重要性が述べられました。
そのほかにも参加していた企業などから、平時の備えや企業で災害時に起こりうる課題を共有する必要性についての意見がでました。
SDGs達成に向けた新 し い 協 働 ・ 共 創とは
最後にそれぞれの分科会で話し合われたことや成果を全体で共有し、交流会を行いました。
SDGsの達成には、そのゴール17(パートナーシップで目標を達成しよう)にもあるように異なるステークホルダーが参画していくことが欠かせません。かんさいCSネットワークでは今後も地域や地球規模の課題解決に向けて、NPO・NGOと企業がお互いの資源や能力を提供し、協働する機会を作っていきたいと考えています。
(報告者:岩根あずさ)