認定NPO法人 緑の地球ネットワーク 高見邦雄さん

認定NPO法人 緑の地球ネットワーク 高見邦雄さん

加盟団体スタッフインタビュー第4回目は、認定NPO法人 緑の地球ネットワーク (以下、GEN)事務局長の高見邦雄さんにお話をうかがいました。

GENは「地球環境のための国境を越えた民衆の協力」をスローガンに生まれたNGOです。 団体設立以降、中国の大同市での緑化活動など、緑化を中心に幅広い活動に取り組んでいらっしゃいます。

今回のインタビューでは、GENの活動内容の詳細をはじめ、読者のみなさんが参加できる活動を詳しくお伺いしましたのでご紹介します。

ただの植林活動ではなく、村が抱える問題を解決するような緑化協力

大同市で、植林を始めることになった経緯はどのようなものでしたか?

―まず中国山西省大同市は、北緯40度、東経113度のあたりにあり、面積は14,200平方km、人口は320万人ほどです。 年間降水量は平均400ミリほどですが、年ごとの変動が大きいことが悩みで、多い年は650ミリ、少ない年は200~250ミリほどになります。
一年の中でも降水量の偏りが激しく、植物が芽生え育つ春に雨が降らず、夏場には1時間70ミリといったゲリラ豪雨も見られます。 この雨によって、畑の土が流されて土地が劣化し、作物や植物が育たなくなります。それがこの地方の砂漠化なんです。 乾燥地域であるのに、夏のゲリラ豪雨が砂漠化を招くという皮肉な現象があるわけです。このような状況を改善するために、緑化が必要だというのが、現地の情況です。

これまで行われた活動は何を目的として、どのような結果が得られましたか?

―大同は4世紀末からほぼ100年、北魏王朝の都が置かれたところで、そのころは山には草木が生い茂り、水も豊かだったと書き残されています。 今も多くの木造建築が存在していることからも、森林があったのは事実でしょう。しかしその後の歴史のなかで、地表をはぎ取るようにして、緑は失われてしまいました。 もともとどんな森林があったかもわからない状態だったのです。
自然条件の厳しい地域ですので、ただ木を植えればいいのではなく、冬の寒さ、夏の厚さに耐える樹木でないと、育つことはできません。 いちばんたくさん植えているのは2種類のマツです。ほかの樹木が育たない乾燥した痩せ地でも、マツは育つからです。 これを山や丘陵の上のほうに植えて、グリーンベルトをつくります。マメ科やグミ科の灌木を混植しました。
それから果樹も植えています。1990年代の農村には学校に行けない子どもがたくさんいました。 そういう村に果樹園をつくり、そこからの収益の一部を教育支援に充ててもらうようにしました。 植えているのは主にアンズです。アンズの木も育ってくると、夏の雨も葉や枝で受け止められ、直接、雨が地面を叩くことがなくなり、土壌浸食も止まります。 GENがこれまでに地元と協力して行った植林は、1800万本以上、5500ヘクタールほどになります。 現在は、日本の専門家による植林の技術改善や人材育成に力を入れているところです。

大同で緑化活動をはじめた当初、地元の人の反応はどのようなものでしたか?

インタビューの様子。大同の自然や気候についてお話しいただいてるところです。

インタビューの様子。大同の自然や気候についてお話しいただいてるところです。

―日中戦争において多くの被害を出した地域なので、日本に対する反発も強く残っており、 活動開始当初は、どこの村でも対日感情は悪かったのです。 私もよく「日本軍以来の外国人だ」といわれましたし、「日本の鬼」と呼ばれたこともあります。
でも、樹木という生き物を扱う活動なので、上手く成長すると嬉しいし、 枯れると悔しい気持ちを共有することができ、次第に気持ちが通じるようになりました。 その後、中国でも、国際協力の貴重な成功例だといって、テレビや新聞が報道し、 中央の指導者がきて高く評価するなど、だんだん注目度が上がり、 現地で活動に関わる人々のあいだにもプレッシャーと責任感が出てきて、活動が進むようになりました。

人気の植林ワーキングツアーや、自然と触れ合えるイベント

GENが企画するワーキングツアーへの参加者はどんな方が多いですか?また、参加した方の感想はどのようなものでしたか?

―GENのワーキングツアーでは、村の人たちといっしょ植樹や交流をおこなったり、 苗畑や実験林場での見学・作業などをおこないます。参加者にはリピーターが多く、いちばん多い人は17回になります。 いまではずいぶんよくなりましたが、以前はシャワーも使えないようなところに泊まって、作業していました。 でも、参加者にはそれが魅力だったのかもしれません。経済の発展にともない、 ワーキングツアーの内容も少しずつ変化し、リピーターからはトラブルを懐かしむ声や、農家に泊まりたいという声もあります。
参加者の中には、植林が始めての人から森林ボランティア経験のある人など、さまざまな方が参加してくれます。 もちろん初めて参加される方もおり、想像よりも現地の緑が多いことに驚かれる方もいます。それは近年に植えてきたものなんですけどね。 それ以外に労働組合や企業のCSR活動などもあわせると、一年間で平均250人、これまでにのべ3300人がきてくれました。

GENの活動に興味がある方は、どのように参加できますか? 

―GENに興味を持っていただき、活動内容のことをより詳しく知りたい方には、講演会や活動報告会などに参加していただくことをおすすめします。 また、GEN主催のイベントに参加してみたいという方は、定期的に「自然と親しむ会」を開催していますので、一度参加してみてください。 11月には炭焼きを行いました。一時間程度で簡単に炭を焼くことができるのがおもしろいですね。また、焼いた炭を畑にいれると、野菜や作物のできがずっとよくなります。 それはまた、空気中の二酸化炭素が樹木に吸収されたものを、地中に固定することになりますので、温暖化の防止にも役立ちます。 大同でも、食料生産のために炭の利用を進めています。
また、ボランティアとして事務所で会報の発送などを手伝っていただけると助かります。 インターンとして関わっていただくことも可能です。忙しい方には、ご家庭でできる、書き損じはがきや古切手を集めることでご協力していただけます。 ほかにも、会員になってのご支援や、会報の購読をとおして活動に関わってくださっている方もいます。

植林を通して、もう一つの中国を知る

高見さんが国際協力の中でも、特に緑化活動に関わるようになったきっかけは何でしょうか?

― 1971年から中国に行っていましたが、1980年代以降、環境の悪化が目につくようになりました。 最初は水や大気の汚染のことが気になったんですけど、これはすぐ政治問題化して、外国人には無理でしょう。 緑化なら反対もでにくいし、素人でもできるんじゃないかと考えました。でも、素人でもできるというのは大間違い。 樹木を植えて育てるのは子育てといっしょで、ずっと苦労は絶えません。

最後に読者の方にメッセージをお願いします。

―事務所に来ていただければ、どんなことでもお話しいたします。 発展が目覚ましい中国ですが、内陸部ではまだまだ貧しい地域も存在し、格差がますます広がっています。 GENの活動内容などを通して、もう一つの中国をご紹介できると思いますので、ぜひお気軽にお越し下さい。

<インタビュー後記>

今回は、目覚ましい経済発展を遂げた中国を、違った角度から見ることができた貴重な機会でした。 緑化というと、木を植えて増やしていくという印象が強かったのですが、ただ植えたらいいのではなく、 その地域の気候条件や土の状態などを把握して住民と一緒に行っていく必要があり、 時間も要する非常に難しい活動であると気づきました。GENと活動地域との強い信頼関係があるからこそ、 緑化という難しい活動が実を結んできたのだと思います。

他国の環境問題なんてピンとこないという人でも、自分の周りの自然に触れ、 その大切さや不思議さなどを実際に感じてみることで、世界でおこっている環境問題を自分のことのように身近に感じることが出来ると思います。 是非GENでのボランティアやイベントに参加して、環境問題を身近に感じてみてください。

(インターン 阪本恵里子)

緑の地球ネットワークが主催するイベントやスタディツアー、ボランティア募集の情報は、関西NGO協議会ウェブサイトでもご覧いただけます!

認定NPO法人 緑の地球ネットワークウェブサイト:http://homepage3.nifty.com/gentree/

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