特定非営利活動法人 アクセス-共生社会をめざす地球市民の会 野田沙良さん

特定非営利活動法人 アクセス-共生社会をめざす地球市民の会 野田沙良さん

加盟団体スタッフインタビュー第5回目は、特定非営利活動法人アクセス-共生社会をめざす地球市民の会 (以下、アクセス)の野田沙良さんです。

アクセスは、貧困をはじめとする私たちが抱える社会的な課題を、 一人一人が主体となって解決してより良い社会を作っていくことを目指して、 フィリピンと日本にて活動する団体です。

今回は、アクセスの活動を支える理念などについてもお話ししていただきました。

“自分達の力で問題を解決できるようになること”が活動の共通点

アクセスが現在一番力を入れている活動は何でしょうか?

―「特に力を入れている」というよりは、複数のプログラムを組み合わせることを大切にしています。 現在、4つの地域で教育やフェアトレード、マイクロファイナンスなどいくつかのプログラムを実施しており、 それらを組み合わせることによって貧困問題を解決しようとしています。 これら全ての活動に共通する目標は、「活動を通じて受益者が自分達の力で問題を解決できるようになること」です。
例えば、奨学金のプログラムでは、子どもが奨学金を受けて学校に通えるようになるだけに終わらせず、 奨学生の保護者による会を作り、いずれは地域が抱える問題を保護者会のメンバーが自分達で解決できるようにサポートしています。

貧困の現状と原因を肌で感じるスタディツアー

スタディツアーでは、参加者にどのようなことを経験してもらうことが目的ですか?

―スタディツアーを通して、主に3つの経験をしてほしいと思っています。
まず一つ目は、貧困の現状を知ってもらうことです。アクセスのスタディツアーは、 現地のコミュニティに入り、人々の生活に直接触れることができるので、貧困の現状を肌で感じることができます。
二つ目に、貧困の原因を理解してもらうことです。実際に自身で感じた貧困の現状はどのようにして生み出されてきたのか、 社会構造や歴史なども含めて学べるように工夫しています。他国の貧困も、突き詰めていけば自分達の生活と深く関わっているのだ、 ということに気付いてもらいたいです。
最後に、そうした現実に対して「自分に何ができるのか」を考えて、ツアーから帰った後には少しずつでも行動に移してほしいと思っています。

スタディツアー参加者が上記のようなことを経験できるように、ツアー構成で工夫されていることを教えてください。

―訪問する地域、場所についてより深く理解してもらうために、出発前に日本で事前学習会を行っています。 ツアー中は、全体を通して、現地の人と直接交流できる時間を多く設けています。 また、現場訪問のあとにはツアー参加者どうしで感想共有やディスカッションをする機会をたくさん設けています。 ツアー中に意見交換をする時間が多いため、本音をぶつけ合うことができるなかまに出会えることもツアーの魅力のようです。
実際に多くの参加者から、「貧困と自分のつながりを実感した」、「ツアーを通して貧困について熱く語れる友人ができ、嬉しい。」 といった感想をいただいています。

スタディツアー後にも、活動に参加できる仕組みがありますか。

―ツアー参加者には、帰国後に事後学習会に参加してもらいます。 学習会は、ツアー中に感じたことをあらためて共有し、実際に貧困問題の解決のために何ができるかを考えるための場です。 学習会で自分にできることを見つけ、さまざまな方法で実行してもらえたら、と思い、毎ツアー後に開催しています。
実際、半数近くのツアー参加者が、自分が通っている大学や高校などでツアーの報告会を行ったり、 ボランティアとしてアクセスの活動に関わるようになったりと、何らかの形で活動を続けてくれています。 アクセスにはツアー参加後も、ツアー中に感じた思いを実現できる場があるので、多くの方が関わり続けてくれているのだと思います。

団体の変化の歴史、そこから生まれる人々の変化

野田さんがアクセスに関わるようになったきっかけを教えてください。

― 大学4年生の時に、フィリピンのごみ捨て場を題材にした映画の上映イベントに参加したのが、アクセスに関わり始めたきっかけです。 その映画を見て衝撃をうけ、すぐにアクセスの活動に関わるようになりました。
大学在学中はボランティア兼、事務所アルバイトとして関わり、その後働きながらボランティアをしたり、 フィリピン現地ボランティアになったり…と、様々な形で関わり続け、現在に至ります。

野田さんがアクセスに関わり始めたときと比べて、団体の状況はどのように変化しましたか?

―私たちの活動は常に試行錯誤の積み重ねであり、その意味では団体は色々な面で変化してきましたし、成長してきているなと感じます。 私がアクセスに関わり始めたころは、日本には専従職員はおらず、一部の強い思いを持った理事による献身で活動が進められていました。 逆に言うと、そうした一部の理事がいなくなれば、組織が維持できない不安定な状態だったということです。
でも、「それではいけない、もっと質の高い活動を、安定して行えるようになろう」、ということで、 組織強化の取り組みが始まったのが2005年ごろです。以降、団体の理念をあらためて議論し、 「アクセスは何をめざし、どこに向かっているのか」ということをしっかり確認したり、 団体のビジョンやミッションを実現するためのスタッフ体制を整備してきました。 私が2007年に常勤スタッフとして採用されたのも、その流れの中でのことでした。2008年からは組織基盤強化のための取り組みに力を入れています。
私たちが大切にしている考え方である「エンパワメント」と「地球市民」を日々の活動のなかで実践していくためには、 これからもどんどん変化し、進化していく必要があると思っています。

野田さんがアクセスで活動していて良かったと感じる瞬間はどのような時ですか?

―現地の受益者や日本のボランティアスタッフが成長し、変化していっているなぁ…と実感する瞬間です。
例えば、かつては支援を求めて私たちを頼ってきていた現地の人々が、 自分たちが直面する問題を自分たちで話し合って解決できるようになっているのを感じた時。
スタディツアーの参加者が貧困の現状や原因を学び、貧困問題の解決のために自ら行動を起こすようになった時。
ボランティアが、それまでやったことのなかったイベントを企画し、それを成功させた時…など。
さまざまな立場の人々が、成長していくことを目の当たりにしてきました。 これからもアクセスは、人が成長できる場であってほしいと思っています。

今後、貧困問題に取り組むNGOとしてどのような役割を担っていく必要があるとお考えですか?

事務所のようす。入り口近くには、ココナッツの手工芸品などのフェアトレードグッズが並んでいました。

事務所のようす。入り口近くには、ココナッツの手工芸品などのフェアトレードグッズが並んでいました。

―貧困の現状と原因の両方を伝え続ける団体でいたいと思っています。 貧困は社会の構造によって生み出されていて、日本で暮らす私たちにもつながっている問題であるということ伝え続けたい。 また、そうした構造的な原因を理解した上で、よりよい社会を創っていこうと考える人を増やしていくことが、アクセスらしさだと思っています。

<インタビュー後記>

市民一人一人が持っている力を持ち寄って活動していくということが、NGOの強みだと再認識したインタビューでした。 インタビュー中、野田さんは活動について生き生きとした表情でお話してくださり、常にアクセスが目指す世界を描いて活動していらっしゃる印象でした。 長年にわたり、現地との信頼関係を構築して、貧困問題の現状と原因を日本人に訴え続けているアクセスの活動を今後も様々な形で応援できたらと思います。

(インターン 阪本恵里子)

アクセス-共生社会をめざす地球市民の会が主催するイベントやスタディツアー、ボランティア募集の情報は、関西NGO協議会ウェブサイトでもご覧いただけます!

特定非営利活動法人 アクセス-共生社会をめざす地球市民の会ウェブサイト:http://www.page.sannet.ne.jp/acce/

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