新・開発協力大綱の閣議決定を受けて (特活)関西NGO協議会の見解

関西地域の国際協力NGO(非政府組織)のネットワーク組織である「関西NGO協議会」(大阪市北区、代表理事:清家弘久、加盟34団体)は、2月10日(水)に行われた新たな「開発協力大綱」の閣議決定を受けて、次のとおり見解を表明します。

1.今回、閣議決定された開発協力大綱(以下「新大綱」)は、日本のODA(政府開発援助)の本旨であるべき平和的・人道的原則から踏み出し、「日本の外交的・経済的利益を優先する援助」「軍事・安全保障と結びついた援助」へと道を開くおそれのある内容を含んでおり、このことに私たちは深い憂慮を表明します。

2.新大綱は「質の高い成長」を掲げ、途上国や中進国の貧困層の生活改善につながるとして、アベノミクスの成長戦略の海外展開とも絡めて、途上国・中進国の経済開発やインフラ整備に主眼を置いた支援を重点的に行うとしています。しかし、現実には経済成長がもたらす「歪み」が、貧困層の生活環境の悪化を招くことも少なくありません。ODAなど公的資金による支援は、民間主導の経済成長がもたらす歪みを是正し、その国の政治・経済・社会環境を公正に整える社会開発分野を中心に行われる方がより効果的です。

3.新大綱は非軍事主義を理念・原則に掲げながらも、非軍事・民生目的の活動に携わる外国軍やその軍籍者への支援を解禁しています。しかし、昨今の中東情勢などからも分かるように、紛争・災害などにより不安定化した地域では、たとえ非軍事・民生目的であれ、軍や治安機関の関与自体が地域のパワーバランスを崩し、かえって緊張を高めることにもなりかねません。また、支援に関わる政府関係者ばかりでなく、同地で活動するNGO関係者や民間人も、なし崩し的に対立や紛争の渦中に巻き込まれてしまう危険性も排除できません。

4.新大綱ではODAが「外交の手段」であることが明確にされ、日本の短期的・直接的な国益への従属性が強調されています。しかし、かつて日本のODAが東南アジア諸国への経済進出の手段として用いられた結果、援助による不正・腐敗・被害を生み出して国内外から厳しい批判を受けたこと、新大綱の前身であるODA大綱は、その信頼回復の過程で生まれたことを忘れてはなりません。日本のODAは、直接的な外交の手段ではなく、むしろ貧困・格差など地球規模の人道的諸課題の解決のためにあるべきです。それにより、憲法前文が謳う「国際社会での名誉ある地位」を得て、日本の国際的進路の可能性を広げる政策的基礎となるべきです。

5.このような新大綱に対する懸念を払拭すべく、政府・外務省は、新大綱の下でも平和的・人道的で、非軍事主義を名実共に貫くODA・国際協力を実施すること、実施にあたっては、ODA受取国の人々・地域の声やニーズを最優先とすること、新大綱の運用にあたり、ODA受取国の人々やNGOの意見・知見を踏まえたガイドラインの制定、客観性・透明性のある審査・検証体制の確立を強く求めます。

関西NGO協議会および加盟NGOは、今後とも地域や世界の人々の立場・視点に立ち、独自の国際協力活動に取り組みながら、その中で培った学び・教訓に基づき、新大綱はじめ政府・国際機関による国際協力に関する政策・活動に対し、真摯なモニタリングと有益な指摘・提言を行うべく、引き続き努力してまいります。

2015年2月17日

以 上

本件に関する問い合わせ先

特定非営利活動法人 関西NGO協議会 (担当:加藤)
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KNC開発協力大綱見解2015