このたび(特活)関西NGO協議会は、政府・外務省がおこなっている「ODAの見直し」に対し、過去のODAの検証をおこなうよう求める提言書を作成いたしました。
ODAの見直しをおこなうのであれば、まずは過去のODAをしっかりと検証することから始めてほしいという内容です。

(詳細は、以下に貼り付けます。)

現在、この趣旨に賛同し、連名していただける団体・個人の方を募集しています。
連名いただける場合は、6月12日(土)までに、

①団体としての賛同か、個人としての賛同か、

②団体名・個人名(個人の場合は、あれば併記可能な所属先・肩書きなど)、

③連絡先のE-mail を、
knc@kansaingo.netまでご連絡いただけますようお願いいたします。

ご不明な点等ございましたら、お問い合わせください。
どうぞよろしくお願いいたします。

<申し込み・お問合せ先>
特定非営利活動法人関西NGO協議会 担当:瀬良(せら)
http://www.kansaingo.net
〒530-0013  大阪市北区茶屋町2-30
TEL:06-6377-5144 FAX:06-6377-5148
E-mail:knc@kansaingo.net

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― ODAの信頼度を高めるために ―
過去に実施されたODAの問題点の検証を求める提言

 私たち、世界の貧困と日本の開発援助のあり方に関心を持つNGOは、岡田外務大臣が「ODAのあり方に関する検討」を開始するとされたことに対し、まず歓迎の意を表したいと思います。一方、この見直しに当たっては、過去のODAについて第三者の視点と参加による検証をまず行い、その結果を改善につなげることにより計画・実施・検証・改善(PDCA)のサイクルを機能させることが欠かせないと考えております。
 日本の開発援助は、約6722億円に達します(2009年度実績)。しかしながら、これまでのODAについては、問題があったこともしばしば報道されています。これら過去に実施された問題のあるODAについて、事実をふまえて検証し、問題を繰り返さないような方針や体制を生み出す必要があると私たちは考えています。また、この機に十分な検証を行うことが、より効果的なODAを実施するためにも、また、真に人びとに支持されるODA政策を生み出すことにも不可欠と考えます。
 つきましては、私たちは、以下の考え方に基づいて、これまでのODA事業および政策の検証を行い、今後の政策に反映することを提言いたします。

1.検証の基準とすべき考え方
1)地球規模の課題解決に貢献するべきである
 私たちは、ODAの目的は、「全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有する」(憲法の前文)という価値に導かれるべきだと考えます。すなわち、貧困、地球環境問題、人権・民主主義・法の支配の確立、紛争などの地球規模の課題の解決のためにODAは用いるべきです。短期的な国益に縛られてはなりません。さらにODAが問題を生み出したり悪化させたりすることがあってはならないと考えます。

2)社会的に弱い立場の人びとのエンパワメントにつなげるべきである
 ODAは、社会的に弱い立場の人びと(最貧層、先住民族・少数民族、女性、子ども、高齢者、障がい者、難民・避難民等)が自分たちの力を発揮できるようにするための支援(エンパワメント)のために優先的に使うべきです。ODAによりこれらの人びとの状況を悪化させてはならないと考えます。

3)途上国市民主体の発展を促進すべきである
 ODAは、途上国市民が、自分たちの社会の主人公となることを推進すべきです。人びとが、ODAの関わる事業や地域の開発計画、自国の開発政策の立案・計画・実施・評価に関わることを促進しなくてはなりません。また、ODAの提供により、これを阻害してはならないと考えます。

4)ODAの透明性・説明責任・有効性を担保すべきである
 ODAの政策決定・実施に当たっては、日本の市民の合意が充分に得られるよう、透明性・説明責任を確保しながら行う必要があります。また、無駄や不正利用がないように充分な監査体制を作るべきです。

2.特に検証すべき問題領域
1)累積債務と借款
 日本の過去の借款は、いくつかの国で深刻な累積債務の原因の一つとなり、その後の貧しい人びとの暮らしに深刻な影響を与えています。借款によるODAがふたたび過剰な債務を生み出さないためにも、過去の検証を行い、借款が過剰な債務につながった原因を明確化し、今後同じような失敗を繰り返さないように事前の確認のためのガイドラインやチェックリストを作成し、ODA政策・案件形成過程に組み込む必要があります。

2)環境破壊と生活破壊
 日本の過去のODAによるインフラ整備は、しばしば現地住民の生活破壊や環境破壊を引き起こしています。確かに、環境社会配慮ガイドラインが国際協力機構(JICA)においては策定されてはいますが、住民の生活破壊、環境破壊を防ぐ主要な責任者が援助受入国政府である以上、JICAのガイドラインだけでは環境・生活破壊を防ぐことが十分できません。過去の事例の検証を通じて、負の影響を受けた人々への支援や、今後、こうした被害をもたらさないための手法をさらに発展させるべきです。

3)格差の拡大
 これまでの援助においては、都市部への支援の集中などにより、地方部との格差が拡大することがあり、社会の健全な発展を損なっていた事例があります。とりわけ初等教育や基本的な医療などが十分に普及していない地域において格差を拡大させることは望ましくないと考えられます。こうした視点に立って、日本が大きな援助国であった国についての状況を検証し、今後のODAにおいて不適切な地域的集中を避けるためのガイドラインを策定すべきです。

4)ODA事業、開発政策への援助受入国市民の参��
 あるべき開発について決定する主体は、あくまで援助受入国の市民であるべきですが、ODAによる事業は、しばしば市民の参加をより困難なものとしたり、開発政策の整合性に否定的な影響を与えてきたとされています。日本のODAについても他の国/機関と十分に調整されていたものか、適切な市民社会の参加のもとに生み出された開発政策にそったものか、受益者のオーナーシップのもとで計画されたものかなどについては、21世紀のODAのあり方を考えるうえで重要な項目であり、国際的にも重要な課題として取り上げられています。日本のODAがこうした側面でどのような課題を抱えていたのかをふまえ、今後のあり方を検討すべきです。

5)不適切な援助の監査システム

 これまでも日本のODAにより供与された物資や技術が適切なものでないなどの理由で十分な効果が出されていない事例や、汚職を伴っていたという報告が散発的に政府の調査によっても明らかにされています。こうしたチェック体制が十分であったのかをより詳細に検証し、今後のODAの実施体制に反映すべきです。

3.検証手続きについての原則
 幅広く知見を集め、広く市民の支援を得られるためには、次のような原則による検証が必要だと考えます。

① 検証は、討議過程の公開を前提とすべきこと。
② 検証は、これまで援助から直接利益を得ていた利害関係者(コンサルタントや建設業者など、ODA実施の一部を請け負う業界など)が直接参加しない、独立した委員会によって担われること。
③ 検証作業には、批判的な見解を有する関係者の参加をえること。
④ ODA改革に関心を有するNGO・研究者が、検証作業への傍聴・参加・意見提出ができるようにすること。
⑤ 援助受入国の市民社会を含む関係者からの意見の受付を行うこと。
⑥ ODAが日本の財政に占める割合や、受入国の人びとの生活に与える影響の大きさに鑑み、検証作業には十分な予算及び人員をつけること。

4.検証のスケジュールとプロセス
1)第1段階(2010年度):ガイドラインやチェックリスト作成のための問題事例検証
 当面、ODAによりマイナスの影響を生み出すことを避けることが最低限必要です。このために、これまでの問題プロジェクトの原因を洗い出し、今後繰り返されないようにするためのガイドラインやチェックリストを作成するための作業を、2010年度の早い段階で集中的に行うべきです。なお、ODAの金額や影響を考えた場合、速さよりも質を優先すべきと考えます。

2)第2段階(2011年度以降):ODA政策の本格的見直し
 問題事例の検証結果から、さらにODA政策に関わる構造的な課題を抽出し、その改善のために必要なODA政策の見直し作業を、公開性を重視しながら行います。
 予想される課題としては、ガバナンス支援、援助受入国の市民社会の支援、人権侵害の深刻な国で生まれる問題とその回避、援助の実施体制(組織、人材)、ODA基本法の必要性とそのあり方などが考えられます。

<想定されるスケジュールとプロセス>
2010年
7月中 外務大臣の委嘱により独立検証委員会を設置、主要な問題領域ごとに小委員会を構成する(「2.特に検証すべき問題領域」の5項目を中心に)
8月中     典型的な問題事例の洗い出し
8月中〜9月中  各事例についての集中的な検証
10月〜12月  ガイドラインやチェックリスト(ODA決定前の検討項目)とそれらの運用方針策定

2011年以降
・検証成果を生かしたODA政策の構造的課題の抽出
・課題の改善、解決に向けた政策代替案の策定(参加、公開性を重視)
・ODA政策の本格的見直し

以上

特定非営利活動法人 関西NGO協議会