2014年7月7日(月曜日)関西NGO協議会は、政府・外務省が進める「ODA大綱見直し」に関し、6月26日(木)に発表された、外務省「ODA大綱見直しに関する有識者懇談会報告書」を受けて、以下の声明を発表いたしました。

※声明文書はこちら(PDF:138KB)からダウンロードしていただけます。

 

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ODA大綱改定に対する関西NGO協議会声明
〜ODA大綱見直しに関する有識者懇談会報告書を受けて〜

2014年7月7日
特定非営利活動法人 関西NGO協議会

 本年3月末に岸田外務大臣が表明した「政府開発援助(ODA)大綱見直し」について、外務大臣が諮問するために設置した「ODA大綱見直しに関する有識者懇談会」が、さる6月26日(木)に報告書を発表・提出しました。同懇談会は、日本のODA・国際協力の長期的なあり方を定めるODA大綱改定の基本方針を議する会議でありながら、政府・外務省との責任関係があいまい、ごく限られたメンバー構成、会議・資料公開の不十分さにより、本来、広く国内外の人々に開かれるべき議論に十分貢献できていません。そのことを指摘しつつ、同報告書の内容も踏まえながら、今後本格的にはじまるODA大綱改定に対して意見を述べたいと思います。

<1>政府による改定の基本方針、原案の公開と人々との意見交換を
 同報告書はあくまで有識者懇談会の議論の報告であり、政府・外務省の正式な方針ではありません。政府・外務省としてのODA大綱改定に向けた正式な基本方針を早期に公開し、国内外の人々による議論・提言に供するべきです。また、大綱の原案についても、政府部内での調整を済ませた最終案のみを公聴会・パブリックコメント直前に公開するだけでなく、その途上の原案も公開し、援助機関、NGO、企業、学識者など援助関係者のみならず、広く国内外や各地域の人々との意見交換を重ね、その意見を改定プロセスに十分反映させるべきです。

<2>途上国の人々のためのODAであることを明確に掲げるべき
 同報告書では、次期大綱がODAのみならず、広く政府の国際協力/開発協力全体を包含するべきだとして「開発協力大綱」とし、開発協力における理念を「基本理念」「基本方針」に分けて記していますが、いずれもドナー側である日本政府からみたマクロな視点からの記述にとどまり、本来「開発の現場」であるはずの「途上国の人々・地域」からの視点が欠落しています。また、日本のODA・国際協力の最上位政策として掲げるべき「目的(誰のため・何のため)」が欠けています。
 ODA・国際協力を外交・経済政策に従属的な「手段」とするのではなく、広く国際社会で国際協力/開発協力の価値観として共有される「途上国の人々・地域の自治・自立をサポートすること」を「目的」として掲げ、改めて、日本のODA・国際協力の平和的・人道的な路線を際立たせる、真の「政策性・戦略性」を確立すべきです。

<3>非軍事主義の明確化、実質化を図るべき
 同報告書では、現大綱の「ODA四原則」に含まれる、ODAの非軍事主義の記述が踏襲されているものの、一方で、軍隊の非戦闘分野での活動(PKOなど国際平和協力、民生目的の活動、災害救助など)との連携が謳われ、その線引きについて「グレーゾーン」を生じさせるあいまいな表現に終始しています。地域紛争や大規模災害など、安定・安全がセンシティブな状況にある地域において、たとえ非軍事目的であれ軍隊やそれに付随する装備が展開することは、場合によっては地域のパワーバランスを崩し、地域の不安定化や新たな紛争を助長することにもなりかねず、こうした活動がODA・国際協力との連携を深めることは、その平和的・人道的な目的に対する地域の人々の疑念を生じさせることにもなりかねません。
 また、同報告書では、非軍事主義に関わる記述が全体に拡散しており、現大綱のODA四原則のようにODA全体を縛る「ブレーキ」として機能するのか、懸念が持たれます。新大綱においても現大綱の水準で非軍事主義を堅持すること、記述として現大綱のODA四原則にならった、ODA・国際協力の全てに拘束性のある「原則・基準」として非軍事主義が明示されることを求めます。

<4>ODAの公正・公開・透明性のあるガバナンスを担保すべき
 同報告書では、新大綱の下の政策体系について、現行の総合的な「ODA中期政策」に代えて、地域別・分野別政策など中期的・中間的な政策の策定を求めています。わたしたちも、全ての当事者にとって運用しやすい政策体系への変更に躊躇するものではありませんが、加えて、各種の中期的・中間的政策・計画や、年度ごとの「国際協力重点方針」の策定において、過去のODA大綱・中期政策と同等以上の公開性・透明性のある策定プロセスで臨むこと、ODA受取国の人々の参加を担保することを求めます。
 また、上位〜中位〜下位の政策・計画・事業間の一貫性ある計画と運用、第三者も交えたモニタリングや評価・検証活動の充実、実施機関における「環境・社会配慮ガイドライン」のさらなる充実と運用強化、ODA受取国で負の影響を被る人々からの異議申し立てに対して、事業停止や再審査も含め、公正・適切・機動的に対応できる体制を充実させるなどの方策を具体化すべきです。

<5>国際協力/開発協力の「真」の政策化・戦略化を
 同報告書では、新大綱がODAに加え、OOFなど非ODA開発資金や関係機関、民間の開発主体・資金、国際平和協力なども範囲に収めることが謳われていますが、内容を見る限り、ODA以外の分野の検討は十分ではありません。新大綱が真に国際協力/開発協力を包含するのであれば、ODA以外の分野の検討を進めて適切な視点・論点を加えること、途上国の人々への負の影響を多く指摘されるOOFについて、少なくとも「ODA並み」の環境・社会配慮の適用・実施を担保することを求めます。
 また、これだけ幅広い政府活動を規定する政策文書が、大綱という閣議決定文書のみであることはガバナンス上、問題があります。今後の検討課題として、国際協力/開発協力政策として一つの政策理念・体系を定めた「基本法」の制定、それを担う担当官庁としての「国際協力/国際開発庁」の設置を検討されるよう、強く希望します。

以 上

【本件に関する問い合わせ先】
特定非営利活動法人 関西NGO協議会 (担当:加藤・榛木)
〒530−0013 大阪府大阪市北区茶屋町2−30 4F
TEL:06−6377−5144  FAX:06−6377−5148
E-mail:knc@kansaingo.net  URL:http://www.kansaingo.net

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(参考)

※外務省『ODA大綱見直しに関する有識者懇談会報告書』(6/26)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/about/kaikaku/taikou_minaoshi/files/yusikisya_report.pdf

※国際協力NGOセンター(JANIC)『「ODA大綱見直しに関する有識者懇談会」報告書に対するNGO声明』(6/30、関西NGO協議会賛同)
http://www.janic.org/pressroom/odango_1.php

※名古屋NGOセンター『ODA大綱見直しに対する名古屋NGOセンター声明』(7/15)
http://www.nangoc.org/information/odango.php

※国際協力NGOセンター(JANIC)『2014年ODA大綱見直しに関するNGOの取り組み』(NGOの声明・意見書・提言書等まとめサイト)
http://www.janic.org/news/odataiko-minaoshi2014.php

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