関西NGO協議会は2月2日のワン・ワールド・フェスティバルのプログラムとして、
「世界の援助潮流と日本の国際協力政策~ポストMDGs・開発効果・市民参加~」を
開催しました(共催:国際開発学会社会連携委員会)。

多くの方々にご参加いただきました。ありがとうございました。

 

前半は、三人のパネリストにご報告いただきました。

荒木要 外務省国際協力局政策課企画官より、日本政府の国際協力政策について、
ODAの意義、歴史を踏まえて重点方針を中心にご説明いただいた後、
世界の国際援助の潮流を概説していただきました。
外務省の立場として、MDGs達成に向けて「人間の安全保障」という概念を推進して
いくこと、保健医療、防災、女性、平和構築が力を入れていく分野であること、
ODAを外交の重要なツールとして戦略的に展開していくために、「民間セクターとの連携」
を積極的に推進していくことなどについて言及されました。

荒木企画官・パワーポイント資料

岡島克樹 関西NGO協議会提言専門委員には、ポストMDGs議論と開発効果議論
及びNGOによるアドボカシーについてお話いただきました。
ポストMDGsは、ハイレベルパネルとSDGsによる二つのルートによる議論が活発ですが、
どのように統合されていくかは不透明であること。開発効果議論は、その背景には
援助の氾濫、被援助側の依存、断片的で包括的でないといった複雑な要因が
絡み合っており、特に「パリ宣言」が重要な指針を示していること。こうしたプロセスに
対するNGOによる主張としては、人権、貧困撲滅、格差、自然環境、発言・活動の自由、
ODA予算の増額が重要視されていること。それらをわかりやすくご紹介いただきました。

岡島提言専門委員・パワーポイント資料

谷山博史 日本国際ボランティアセンター代表理事は、国益とグローバル益を両立
させるために経済インフラが強調されるが、民主的なオーナーシップ、当事者である
地域住民の視点、参加が抜け落ちやすいのではないか。
相手国の経済成長には民間と官の連携が鍵だと強調されるが、企業も含めた上で、
人権、参加、ジェンダーに力点を置くことが大切だと指摘されました。
また、外務省とNGOとの対話は、他の省庁にはない画期的なものであるだけに、
ODA大綱の見直しの際は対話を重視していただきたいとの発言がありました。

後半は、コメンテーターによるコメントの後、パネリスト・コメンテーターと
会場とのディスカッションが続きました。

黒田かをり 国際開発学会社会連携委員会副委員長より、「企業との対話」という
視点からコメントをいただきました。
開発課題の解決には民間セクターの力が必要不可欠とされ、企業も社会貢献
だけでなく、本業を通じて取り組むようになってきています。
一方、企業は、社会的責任として「環境」への取組みや「コンプライアンス(法令順守)」
だけでなく、自社の事業活動が「サプライチェーン」や地域に与えるマイナスの
影響―労働問題や人権侵害など―に適切に対応することが求められています。
NGOの現場目線はとても重要なので、国際機関や外務省などの政府機関への
提言に加え、企業セクターにももっと積極的に働きかけをしていくべきでは
ないかという指摘がありました。

それに対し、荒木さんは、ODAは国民の税金により民主主義のプロセスを経て
実施しているものとの説明後、「市民社会は、国会など政策決定プロセスや
関連企業などに大きな影響力を与えることができる存在」、
岡島さんは「格差が是正され、貧困者を含めた包摂的な成長の実現が大切」、
谷山さんは「『開発』を経済成長だけで考えるようになってきており、ODAの
先祖がえりという印象を受けている」とそれぞれ述べられました。

川村暁雄 関西NGO協議会提言専門委員は、経済成長vs貧困削減の議論に
ついてはそもそもなぜ貧困削減の議論が主流化し、MDGの達成が必要と
されたのか、を忘れるべきではない。現地の市民社会をどのように支えて
いくか、現地の人たちが力をつけるための支援とするにはどうすべきか、
対話はとても重要であるとコメントされました。

「ODAは、結局借金として苦しめることになっていないか」、
「ODA大綱の見直しについて知りたい」
「ハードのODAではなく、ソフトのODAに関心がある。法整備、人材派遣などについて伺いたい」
「ODAと国連の社会権規約との関係、ODAに人権の視点をどのように関連付けているか」
といった会場からの質問に対し、パネリストにお答えいただきました。

閉会に際し、佐藤寛 国際開発学会会長より、「民間セクター、企業が国際開発の
分野に入ってきたことによって、ますます市民社会の役割、責任が期待されている。
今回のような集まりが、今後新しいルール作りに寄与することを願っている」との
ご挨拶をいただきました。

【事務局長 奥谷充代】

■実施日:2014年2月2日(日)15:00~17:00
■会場:大阪国際交流センター3階 銀杏
※ワン・ワールド・フェスティバルの公募プログラムとして実施
■プログラム(敬称略)
開会あいさつ、趣旨説明
清家弘久(関西NGO協議会代表理事)
加藤良太(関西NGO協議会提言専門委員)

パネリストによる報告
「ODAの理念・歴史と現状」
荒木要(外務省国際協力局政策課 企画官)
「ポストMDGs・援助効果議 論の概要」
岡島克樹(関西NGO協議会 提言専門委員/大阪大谷大学人間社会学部 教員)
「世界の援助潮流と日本の国際協力政策」
谷山博史
(日本国際ボランティアセンター 代表理事/国際協力NGOセンター 副理事長)

コメンテーターによるコメント、パネリストとの質疑
黒田かをり
(国際開発学会社会連携委員会 副委員長/CSOネットワーク 事務局長・理事)
川村暁雄(関西学院大学人間福祉学部 教員/関西NGO協議会 提言専門委員)

質疑応答、ディスカッション
コーディネーター:加藤良太(関西NGO協議会提言専門委員)

閉会あいさつ
佐藤寛(国際開発学会 会長/アジア経済研究所 研究企画部長)