自国で迫害を受けたり、受けるおそれがあることから庇護を求め、自国から他国へ逃れる人々のことを「難民」と呼びます。難民の人々は、必ずしも安心で安全な生活が送られるわけではありません。他国に逃れたにもかかわらず、明日の食事、住まい、医療が保障されておらず、ぎりぎりの生活を送っているケースも多くあります。

新型コロナウイルス感染症の拡大はこれらの人々の生活を更に困難なものにしました。また、海外では、各国でのロックダウンの影響で、国境すら越えられない「国内避難民」と呼ばれる人々が増加し国境付近で過酷な状況の下、生活を送るほかない状態にあります。

今回は、大阪府内で支援活動を行うRAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)の共同代表、田中惠子さんに取材しました。

目次
①最低限の予防さえままならない現状
②いま日本で起きていることー在日難民の潜在的なリスクー
⓷コロナ以前から抱えている構造的な課題について
⓸共生社会を築くために大切にしたいこと

①最低限の予防さえままならない現状
写真提供:RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)

難民とは、迫害のおそれ、紛争、暴力の蔓延など、公共の秩序を著しく混乱させることによって、国際的な保護の必要性を生じさせる状況を理由に、出身国を逃れた人々を指します。
(国連難民高等弁務官事務所https://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/22174/ より)

難民と呼ばれる人々は、世界に数多く存在します。シリア、アフガニスタン、南スーダン、ミャンマー、ソマリアは近年特に多くの難民が発生している国々です。また、現在新型コロナウイルス感染症の影響で、様々な国で国境封鎖が実施、国外への移動が制限され、自国内で避難生活を送るほかない「国内避難民」と呼ばれる人々が増加しています。国内避難民は国境が越えられず国境付近の「難民キャンプ」に集う人も多いため、三密の回避ができないだけでなく、劣悪な衛生状態での生活を余儀なくされています。

感染症に対する最低限の予防である手洗いは、石けんやハンドソープを使って泡をつくり、20秒以上かけて行われるよう呼びかけられています。新型コロナウイルス感染症拡大により、国境封鎖の影響で消毒液などの衛生を保つ支援物資が届かないばかりでなく、これまで恒常的に存在していた水不足の問題が難民キャンプでの状況を悪化させています。感染症への最低限の予防がこれまで以上に困難になったことによって、難民キャンプに暮らす人々の生活はさらに窮地へと追い込まれようとしています。

②いま日本で起きていることー在日難民の潜在的なリスクー

写真提供:RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)
大阪を中心に難民支援活動をする田中さんは「日頃、訪問している難民も収容されている入国管理局を見る限りは、部屋の構造が「6人部屋の2段ベッド」になっており、夜間は施錠もされている。また、窓の開閉も自由にはできないため「三密」を避けられないだろう。」と言います。さらに、「新型コロナウイルス感染症拡大以降は、入国管理局内でも『検温』『消毒』『マスク』の推奨はされているものの、実際に全て賄い、身の安全を確保することは難しいだろう。」と続けます。

また、日本国内に避難してきた方の請求により、認められた場合に条件付きで解放する措置として必要な仮放免の申請手続きには、「三密」を余儀なくされるため、活動に際しては彼らに新型コロナウイルス感染症をもたらさないように細心の注意を払っているといいます。彼ら、彼女らは医療を受診し、治療を受ける機会も限られるため、できる限り早く仮放免が認められることを切に願っています。

⓷コロナ以前から抱えている構造的な課題について

写真提供:RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)

仮放免された後も、日本に暮らす「在日難民」と呼ばれる方々の生活は容易ではありません。彼ら、彼女らへの生活保障は、月々4万8000円であり、これは衣食住や移動費を考慮すると暮らしていくために十分ではないことは明らかです。また、生活保障費を受給できるまでには2ヶ月を要します。さらに、田中さんからお話を伺うなかで「この最低限の生活保障すら、受けることのできない方達が日本国内に難民としてたくさん存在している。」という事実が明らかになってきます。

生活保障を受けられない方達は、難民申請において不認定となった方達であり、保障の受給対象外となります。そのため、認定を受けることは彼ら、彼女らにとって大変重要ですが、その申請手続きには日本語の書類提出が求められます。つまり、日本語が理解できず、さらには支えてくれる身寄りがいない、より脆弱な立場に立たされる方ほど申請手続きや、認定を受けることがより一層難しくなることを意味するのです。

田中さんは「現場支援を行うと、実際には、認定を受ける条件がある方々が、不認定となっているケースが多く見受けられる」と言います。RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク」では、在日難民の方が住まいを持てるまでの間、事務所の2階をシェルターとして提供し、支援活動を続けています。
今回の取材を通して明らかになったことは、在日難民の方達が直面する課題は新型コロナウイルス感染症以前から日本社会が抱えている構造の欠陥であり、基本的な人権に関わる課題を改めて突きつけられているということです。

⓸共生社会を築くために大切にしたいこと

写真提供:RAFIQ(在日難民との共生ネットワーク)

私と地域と世界のファンドは、こうした行政の支援の枠組みやセーフティーネットからこぼれ落ちる人、しんどく辛い状況を声に出せない人を支援するものです。そして、支援を通じて私たちの思いを繋ぎ、SDGsの謳う「誰一人取り残さない」社会を目指すものです。
田中さんは共生社会を築くために「はじめに、相手の立場への想像力を引き出すことが大切」と強調します。 たとえば、在日難民で日本到着時から日本語が理解できる方は多くありません。しかし、難民申請以外の重要書類についても、しばしば、日本語で書かれた封書が届き提出を求められ、ほとんどの書類には「ふりがな」や「多言語」での説明文や問い合わせ欄もなく、全ての書類に適切に対応するのは非常に困難です。また、対応を怠れば罰則を受けることもあります。銀行口座の開設や行政の仕組みを利用するためには日本語が理解できることが前提となるものも多くあります。

この立場におかれることを想像し、もし自分が同じ立場になったらと考えてみてください。さらには、緊急事態宣言下で「ステイホーム」が推奨されても、そもそも住む場所がない方が存在していることを、私たちは意識して暮らしていたでしょうか。

在日難民の方達に関しての報道などは非常に限られており、彼ら、彼女らの存在は日本社会の中で不可視化されてしまっています。だからこそ私たちは、積極的に在日難民の方達の置かれている状況を理解するために情報を集めたり、一人一人の人に思いを馳せることが必要です。私たちは受けた教育や文化、環境などによって「当たり前」の前提を作ってしまっています。しかし、異なる立場にいる人たちへの思慮や共感を育んでいくためにはこの「当たり前」の壁の外側を見ようとする、感じようとする姿勢が可欠です。そしてそれが共生社会の入り口なのかもしれません。

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